1年半ぶりのG1優勝で男泣き……。古性優作が悲願の“ダービー王”に!【平塚・日本選手権競輪 決勝レポート】

“最強”古性、ここにあり――。圧巻の立ち回りで、最高峰のG1『日本選手権競輪』を制した。
表彰式では、古性の瞳には光るものがあった。優勝会見でも感極まり、言葉を詰まらせながらその思いを語った。
「日本一になるために、毎日すべてを捧げてきました。本当にうれしいです。去年一年間、本当に不甲斐なくて。選手を続けたくなくなるときもすごく多くて……。本当に良かったなって思います」
理想の競輪とそれを実現できない自分と向き合ってきた日々を思い返したのだろう。
「S級S班なので、ファンのみなさんは勝って当たり前だと思うような状況だと思います。そのなかで期待に応えられなかったら出ないほうがいいのかなとか。でも、走りを待ってくれているファンの方もいると思う。なかなかそこの判断は今の立場上、難しい。走るからには結果を求められると思うので」
前回の西武園記念では結果に応えられなかった、悔しい思いも語った。

2024年寛仁親王牌以来となるG1優勝となった古性優作
レースは、赤板をめがけて菅田壱道がゆっくり上昇していくが、そこを佐々木悠葵が外から一気に飛び出て先頭に立つ。佐々木のすさまじい加速に、ラインの吉田拓矢と眞杉匠は車間が空きながら追走し、隊列はタテに長くなった。
その時、古性優作は初手で正攻法に構えた取鳥ラインの後ろにいたが、ここで松浦悠士の後ろの荒井崇博の前まで追い上げ、1車でも前へと車を進める。4番手に入った取鳥雄吾は前との車間を詰める勢いで踏んでいくが、なかなか車は出ない。佐々木のスピードが落ちると、吉田は最終2コーナーから前に踏む。その後ろで古性が眞杉をすくって位置を確保。古性はまくった吉田を一気に捉えにかかり、先頭でゴールを駆け抜けた。
決勝の舞台に立つまでは静かに闘志を燃やし、メンタルをコントロールしてきた古性。しかし、ゴールした瞬間、秘めていた気持ちを解き放ち、人差し指を天に突き上げ“日本一”を誇示した。

ゴール後は感情をあらわにしてファンに手を振った
「ホームから(眞杉の)内へ行った判断も想定外というか、もう吸い込まれるようにいきました。あそこを狙っていった訳ではないですね。ああなったら外行くしかないなっていう感じだったけど、今回に限りですかね。連日褒められたレースではないので、とにかくしっかり外を回してっていう感じでのイメージでは走りたい。そうやっていかないと力はつかないと思う」
俊敏な判断力とタテ脚。その両立こそが古性の真骨頂であり、“最強”と称される所以だ。しかし、その視線はさらに先を見据えている。
「走る前にグランプリスラムを目指していたら、今回は力んで獲れていなかったと思います。昨年の悔しさもあるので、とにかく力を出し切って今開催を終えようと。これだけメンバーが強かったら、(勝つことが)確率論みたいになってくるところもあります。本当に力を出し切って、負けたらその時はまた練習するしかないなと思って。そういう心構えで発走機に立ちました。最初からああいうレースをしようと思って発走機に立ったら、優勝は絶対にできていないと思いますし。結果そうやって外を踏むっていう気持ちがあったから、ああいう判断にもなったのかなって思います」

勝つ=ファンの期待に応える。それを体現できる男が古性だ
G1完全制覇にグランプリ制覇を加えた『グランプリスラム』へ、残すは競輪祭のみ。その先には『ダブルグランドスラム』という壮大な目標もある。
「とにかく自分はしっかり一個人として成長できるように頑張って。あとは近畿の層がどんどん厚くなって盛り上がっていって、決勝戦は一人じゃなく、去年の全日本選抜競輪みたいに6人で乗って、別線になるくらいの幸せな悩みが増えたら一番うれしいなって思います」
頂点に立ってもなお進化を止めない――。古性優作の挑戦はまだ終わらない。